本資料は データ分析勉強会 で使用した「RStudioのすゝめ」の講義資料を再整理したものです。
 

はじめに

RStudio とはRStudio社が開発している R言語 用のIDE(Integrated Development Environment)、すなわち統合開発環境です。デスクトップ版とサーバ版の二種類が用意されており共にオープンソース版は無償で利用することが可能で、 R言語 用IDEのデファクトスタンダートと言っても過言ではありません。

RStudioの優れた点は R言語 を用いたプログラムの開発だけでなく R Markdown を用いたドキュメントの作成や R言語 以外の言語のサポート、Git/SVNを利用したバージョン管理、独自のパッケージ管理機能等を備えている点です。また、スクリプトの記述を強力にサポートしてくれる高機能なエディタを内蔵している点やプロジェクト管理機能も備えています。
 

RStudioのインストール

RStudio のインストールは各プラットフォーム向けのバイナリをダウンロードして実行するだけです。実行した後は対話的に必要な指示をするだけです。
 

RStudio Overview

最初に RStudio の各部(各ペイン)の名称を確認しておきます。画面各部は設定により配置を変更できますが、ここではデフォルト状態で説明します。
 

RStudio Panes  

No 名称 説明等
1 Source Editor データセットの内容表示も可能なソースエディタ/ビューア(ファイルが開かれていない場合は未表示)
2 Console 文字通りコンソール(実行結果の表示だけでなくここから実行することも可)
3 Help ヘルプの表示・検索が可能なヘルプビューア
4 History 実行履歴(コンソールでの実行、ソースからの実行共に記録)
5 Files 簡易なファイルマネージャ
6 Plots ヒストリ機能、プロット出力機能付きのプロットエリア(グラフィック専用)
7 Packages パッケージの管理を行うパッケージマネージャ
8 Environment 扱っているオブジェクト(変数、関数)の表示と参照ができる環境マネージャ
9 Viewer HTML等の表示が可能なビューア
10 VCS(Git/SVN) オプションでVCS(Git or SVN)を有効にしている場合のみ有効になる簡易VCSクライアント
11 Build プロジェクトオプションでBuildツールを有効にしている場合のみ有効になるビルドツール
  Terminal OSのターミナル(RStudio v1.1から)
  Connections データソース接続マネージャ(RStudio v1.1から)

   

注意点

RStudio は日本語を始めとしたいわゆるマルチバイト文字(現在はユニコードが主流になりつつあるので表現としては不適切ですが)の扱いが不得手です。特にWindows以外の環境との共用や R Markdown の利用を前提としている場合は以下の条件で利用するように心がけてください。
 

項目 条件 備考
パス名 日本語(全角文字)、スペースは使用しない フォルダ(ディレクトリ)名、ファイル名
文字コード UTF-8 UTF-8NのBOMなし
改行文字 基本的に各環境のRStudioに任せてOK LFのみが推奨

 

オプション設定

RStudio のオプション設定は RStudio 全体に適用される[Global Option]と個々のプロジェクトのみに適用される[Project Option]の二つがあります。文字コードの設定以外は基本的にはデフォルト設定でも構いません。
以下は推奨設定内容ならびに必須設定内容の一覧です。
 

Global Options

大項目 中項目 小項目 設定内容等
General R version NA Windows版のみでOSのビット数に合わせる
  Default working directory NA Windows版のみ
Code Editing Insert spaces for tab チェックする
    Tab width 2
  Display Show line numbers チェックする
    Show margin チェックする
    Margin coloumn 80
  Saving Line ending conversion Posix (LF)
    Default text encording UTF-8を選択【必須】
Packages CRAN mirror NA Golbal(CND) or Japan(Tokyo)
Sweave Weave Rnw files using NA knitr
  Typeset LaTeX into PDF using NA XeLaTeX
Terminal Connection Connect with WebSockts Terminalが起動しない場合はチェックを外す

 

Project Options

大項目 中項目 設定内容等
General   必要に応じて変更します
Code Editing Insert spaces for tab Global Optionと同設定を推奨
  Tab width 同上
  Line ending conversion 同上
  Text encordint 同上
Sweave Weace Rnw files using 同上
  Typeset LaTeX into PDF using 同上
Build Tools Project build tools 必要に応じて選択します
Git/SVN Version control system 同上
Packrat Using packrat with this project Packratを利用する場合に使います

 

RStudioの使い方

RStudio はIDEですのでこういう使い方をしなければならないというのはありませんので、まずはヘルプにあるコードや公開されている事例コードを利用して使ってみて下さい。
 

便利なキーボードショートカット

ソースエディタを利用する際に最低限覚えておくと便利なショートカット(Windows, Linux)を下表にまとめておきます。
 

ショートカット 機能
[F1] 選択している関数のヘルプを呼び出す
[F2] 選択している関数のコードを表示する
[TAB] 入力中のコード(オブジェクト)を補完する
[Shift]+[TAB] 同上(Markdown部分に対するsnippet)
[Ctrl]+[1] ソースエディタペインをアクティブにする
[Ctrl]+[Shift]+[1] ソースエディタペインをウィンドウ内いっぱいに広げる
[Ctrl]+[2] コンソールペインをアクティブにする
[Ctrl]+[Shift]+[2] コンソールペインをウィンドウ内いっぱいに広げる
[Ctrl]+[Shift]+[0] 全てのペインを表示する
[Ctrl]+[Shift]+[C] 選択行をコメントアウトする
[Ctrl]+[Shift]+[I] カーソル行にコードチャンクを挿入する
[Alt]+[-] 代入( <- )をカーソル位置に挿入する
[Ctrl]+[Shift]+[M] パイプ( %>% )をカーソル位置に挿入する
[Ctrl]+[Enter] 選択行のコードを実行する
[Ctrl]+[Shift]+[K] R Markdownファイルをknitする
[Alt]+[Shift]+[K] キーボードショートカット一覧を表示する
[Ctrl]+[F] ファイル内、ヘルプ内検索
[Ctrl]+[Shift]+[F] プロジェクト内検索(grep)

 

Git/GitHubを使う

Git/GitHubRStudio から使うためには以下の設定が必要です。

  1. メニューから[Tools]-[Golobal Options…]をクリックして設定ダイアログを開きます
  2. 設定ダイアログで[Git/SVN]をクリックします
  3. [Enable version control interface for RStudio project]にチェックを入れます
  4. 「Git executable」にGitの実行ファイルのパスを指定します
  5. [OK]ボタンをクリックします

 

Windowsの場合

Windowsの場合

 

なお、 GitHub のアカウントを利用しない場合は[SSH RSA Key]の設定は不要です。 GitHub アカウントでSSHを利用する場合はダイアログ上のヘルプリンクをクリックするか こちらの記事 を参照してください。
 

GitHubからクローンする

プロジェクトが GitHub やSVNのリポジトリで管理されている場合 RStudio で直接クローン(インポート)することが可能です。
 

  1. まずリポジトリのURLを取得します
    GitHubの場合

 

  1. [File]メニューまたはプロジェクト・メニューから[New Project…]を選択します

 

  1. [Version Control]を選択します
    VCS

 

  1. 利用しているVCSを選択します(ここでは[Git]を選択します)
    VCSの選択

 

  1. 必要な情報を入力して[Create Project]ボタンをクリックします
    Repository Information
  • [Repository URL] : 最初に取得したリポジトリのURLを入力します
  • [Project directory name] : リポジトリ名が自動的に入力されます
  • [Create project as subdirectory of] : プロジェクトをクローンするパス1を指定します

 
1 日本語や空白が入らないパスにしてください

 

  1. リポジトリのクローンが開始されます
    Cloning

 
クローンが終了すると自動的にプロジェクトとして開かれます。
 


Sampo Suzuki CC BY-NC-SA 4.0 , Sampo Suzuki [2019-05-10(JST)]