R Markdown やSweaveを利用することではPDFファイルの作成が可能ですが、PDFの出力には外部プログラムとして\(\TeX/\LaTeX\)環境が必要です。\(\TeX/\LaTeX\)は様々なディストラクションがありますが、 RStudio の利用を前提とした場合、軽量でクロスプラットフォーム対応の TinyTeX がおすゝめです。TinyTeX RStudio社 R Markdown などの開発を担当しているYihui Xie氏によるTeX Liveをベースとした軽量ディストリビューションで、日本語関連のパッケージを入れても名前通りインストールサイズが300MB程度と非常にコンパクトなのが特徴です。
 
同名のtinytex パッケージを用いることで R からインストールやメンテナンスができるようになります。特に\(\TeX/\LaTeX\)を利用するのは R Markdown だけという場合には最適です。
 

インストール手順概略

TinyTeX をインストールするには前述のように tinytex パッケージを用います。

Package Description
tinytex Helper Functions to Install and Maintain ‘TeX Live’

 
インストール手順は以下のようになります。

  1. tinytexパッケージのインストール
  2. TinyTeXのインストール
  3. RStudioの再起動(tinytexパッケージの仕様上必要な手順です)
  4. IPAフォントのインストール(インストールされてない場合のみです)
  5. テストビルド(動作確認です)

 

tinytexパッケージのインストール

R RStudio のターミナルから以下のコマンド(関数)を実行するか、 RStudio のパッケージマネージャからtinytexパッケージをインストールします。
 

install.packages("tinytex")

 

TinyTeXのインストール

tinytexパッケージがインストールされたら、 R RStudio のターミナルから以下のコマンド(関数)を実行します。
 

tinytex::install_tinytex()

 

途中で以下のようなメッセージが表示されます。文字通り TinyTeX をインストール中にワーニングメッセージが表示されるのですが、これらが表示されもて TinyTeX のインストールには影響はありませんので気にしないで下さい。
 

 
その後、メッセージが止まるような時がありますが焦らずに気長に待ってください。回線にもよりますが10分程度でインストールは終わります。
 

RStudioの再起動

TinyTeX のインストールが完了したら RStudio を再起動してください。これは現在のtinytexパッケージ(v0.4)での制限事項です。
 

IPAフォントのインストール

PDFファイルの日本語には標準設定でIPAフォント(IPAexフォント)が適用されます。これらのフォントがインストールされていない場合、エラーとなりPDFファイルが作成されていませんので必ずインストールしてください。IPAフォントは こちら からダウンロードできます。IPAフォントがインストールされていない場合は、IPAフォントならびにIPAexフォントのすべての書体を必ずインストールしてください。
 

テストビルド

RStudio を再起動したら使用したい\(\LaTeX\)エンジンに応じたYAMLを記述した日本語を含む R Mardkown ファイルをknitして下さい。特に問題なくPDFファイルがビルドされるハズです。なお、 TinyTeX でパッケージが不足している場合にはknit中に自動的にインストールしてくれます。
 

xelatexを使う場合のYAML設定例

---
output: 
  pdf_document:
    latex_engine: xelatex
    pandoc_args: --top-level-division=chapter
documentclass: bxjsbook
classoption: xelatex, ja=standard
geometry: no
---

 

lualatexを使う場合のYAML設定

---
output: 
  pdf_document: 
    latex_engine: lualatex 
    pandoc_args: --top-level-division=chapter
documentclass: ltjsarticle 
---

 

\(\LaTeX\)エンジン

日本語を扱う場合、\(\LaTeX\)エンジンは前出のxelatexlualatexの二択になります。残念ながら日本語組版に広く対応しているupLaTeXはYAMLで指定しても RStudio からは直接利用できません注1 xelatexを選択するのが現状ではベストです。
 

参考)日本語対応の\(\LaTeX\)

 

LaTeX 概要
LuaLaTeX 海外で広く使われているpdfLaTeXを拡張したLaTeX
XeLaTeX Unicodeが使えるLaTeX、日本語組版にも対応しているらしい
upLaTeX Unicodeに対応した日本語組版対応のLaTeX

 


Sampo Suzuki CC BY-NC-SA 4.0 , Sampo Suzuki [2019-05-10(JST)]